雷鳴に閉じ込められて

男性たちの悲鳴に萌黄が意識を取り戻すと、萌黄を護るかのように、一本の刀が萌黄の前に浮いていた。誰も刀には触れていない。まるで、刀自身に意志があるかのように動いている。

「何これ……」

男性たちは悲鳴を上げているが、萌黄は全く恐怖を抱くことはなかった。むしろ、何故興味が湧いている。

「い、行くぞ！！」

男性たちは顔を真っ青にしながら走っていく。萌黄がその様子を呆然と見ていると、どこからか凛とした声が響いた。

「フツノミタマノツルギ、よくやったでござる。戻れ」

刀がどこかへ飛んでいく。萌黄が目で追うと、そこには戦国武将のような青い甲冑を身につけた男性が立っていた。長い黒髪を一つに結び、その瞳は青く輝いている。その男性は、飛んできた刀を取り、鞘に収めていた。

（すごくかっこいい……）

萌黄の胸が高鳴る。男性の容姿は、有名な芸者にも劣らないほどだった。思わず見惚れていると、男性と目が合う。次の瞬間、萌黄のすぐ目の前に男性は立っていた。