雷鳴に閉じ込められて
「怪我はないでござるか?」

「は、はい……!あの、助けていただいてありがとうございます……!」

顔を赤く染めながら萌黄がお礼を言うと、男性はフッと笑いながら鞘に触れる。

「助けたのは拙者ではなく、この刀でござるよ。拙者の相棒フツノミタマノツルギは剣の神様でござる。だから先ほどのように自由に動いて、そなたを助けることができた」

「剣の神様……?あの、あなたは一体ーーー」

萌黄が首を傾げていると、ポンと頭に男性の大きな手が触れる。ゆっくりと撫でられ、萌黄の体に入った力がどんどん抜けていった。まるで犬になった気分である。

「拙者の名は、タケミカヅチノオノカミ。雷の神でござるが、周りの神々からは武神とも呼ばれているでござる。ここで会ったのも何かの縁でござるし、良ければ剣術を教えさせて貰えないだろうか?」

ジッと見つめられ、萌黄の心拍数が上がっていく。萌黄は何度も首を縦に振った。

「嬉しいです……!あたし、こんな格好をしていますけど女で、剣を教えてもらえなくて……」
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