雷鳴に閉じ込められて
「剣に、男も女も関係ないでござるよ」

タケミカの笑顔で言った言葉に、萌黄は嬉しさから泣いてしまいそうになる。それは、ずっと誰かに言ってほしかった言葉だったからだ。

こうして人間である萌黄は、神であるタケミカから剣術を教えてもらえることになったのだ。



萌黄は毎夜のように家を抜け出し、神社へと向かった。神社ではいつもタケミカとフツノミタマノツルギが待ってくれていて、ニコリと笑いかけてくれる。

「タケミカ様、今日もよろしくお願いします!」

「萌黄殿、今夜も来てくれて嬉しいでござるよ」

タケミカがそう言うと、鞘からフツノミタマノツルギが飛び出すように抜け出し、萌黄がきたことを喜ぶかのように彼女の周りをぐるぐると回る。

「では、今夜も始めていくでござる」

「はい!」

萌黄は竹刀を構え、「やあッ!」と声を出しながら振り下ろす。その様子をタケミカは優しげな目で見守っており、時折り「こうした方がいいでござる」と萌黄の手に触れる。その度に、萌黄の心臓は音を立てていくのだ。
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