雷鳴に閉じ込められて
こっそり夜にタケミカに剣術を教わるようになって、早二ヶ月ほどが過ぎた。最強の武神と謳われているタケミカに教えてもらっているおかげで、萌黄の剣の腕前は日に日に上達している。

「萌黄殿、そろそろ帰る時間でござるよ」

タケミカに言われ、萌黄は剣を振り下ろすのをやめる。タケミカとの稽古は二時間ほどでいつも終わってしまう。それが少し萌黄には物足りない。

「タケミカ様、あたしは別に朝まで稽古をしても問題ありません!ですからーーー」

もっと上手になりたい、そんな思いで萌黄は口を開いたものの、唇にそっとタケミカの細長い指が触れる。指が腫れている唇に熱が集中し、萌黄は慌てて彼から離れた。

「きちんと睡眠も取ることも剣士の務めでござる。それに、朝まで神とはいえ男と一緒にいたなどと知られたら、萌黄殿が嫁に行けなくなるでござるよ?」

「親の言いなりになって知らない家に嫁ぐくらいなら、タケミカ様とずっと一緒に稽古をしていたいです!」
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