さくらの結婚
ブライダルフェア
風邪が治ってからのさくらは何だか忙しく、勤め先のホテルに泊まる事が増えた。もう五日さくらの顔を見ていない。ブライダルフェアの準備とかで大変なようだ。
結局僕は、さくらの告白の真意を聞く事が出来ずにいた。その事にさくらは全く触れて来ない。そんな話が出来る程顔も合わせられてないが。
五日ぶりに帰って来たさくらは、明日のブライダルフェアに来て欲しいと言い出した。
「お父さんに是非、見てもらいたいの」
不意に言われてマグカップを持つ手が震えた。
――お父さん。
初めてさくらにそう呼ばれた。
まじまじとさくらを見ると、
「これからはそう呼ぶ」と言われた。
出会った時からさくらには一郎と呼ばれ続けていた。
無理にお父さんなんて呼んで欲しくなかった僕は、さくらの好きなように呼ばせていた。
ようやく僕も父として認められたのか。長かったと思いながら、急にさくらが遠くに行ってしまったようで寂しくなる。
「絶対に来てよ。お父さん」
念を押すようにさくらに言われた。
お父さんの一言に、すっかり告白の事を聞く気力を失った。
結局僕は、さくらの告白の真意を聞く事が出来ずにいた。その事にさくらは全く触れて来ない。そんな話が出来る程顔も合わせられてないが。
五日ぶりに帰って来たさくらは、明日のブライダルフェアに来て欲しいと言い出した。
「お父さんに是非、見てもらいたいの」
不意に言われてマグカップを持つ手が震えた。
――お父さん。
初めてさくらにそう呼ばれた。
まじまじとさくらを見ると、
「これからはそう呼ぶ」と言われた。
出会った時からさくらには一郎と呼ばれ続けていた。
無理にお父さんなんて呼んで欲しくなかった僕は、さくらの好きなように呼ばせていた。
ようやく僕も父として認められたのか。長かったと思いながら、急にさくらが遠くに行ってしまったようで寂しくなる。
「絶対に来てよ。お父さん」
念を押すようにさくらに言われた。
お父さんの一言に、すっかり告白の事を聞く気力を失った。