さくらの結婚
「着てくるから待ってて」  

 さくらがドレスと一緒に白いカーテンの中に入った。
 わくわくとした気持ちでカーテンの前で待っていた。凄く似合う事は着る前からわかっていた。

 そうだ。携帯電話で撮影をして、待ち受け画面にしよう。
 ポケットの中をまさぐるが携帯が見つからない。家に置いて来たのかもしれない。家のどこに置いたかな。

「じゃーん」  

 勢いよくカーテンが開き、ウェディングドレス姿のさくらが現れる。  
 想像以上にさくらが綺麗で、息が止まった。

 いつの間にさくらはこんなに美しい女性に成長していたのだろう。
 さくらの美しさに圧倒されて、胸がドキドキする。

「何? 感想はないの? せっかく着てあげたのに」

 黙ったままの僕をさくらがじっと見る。

「まあまあかな」  

 今感じている感情をさくらに伝えてはいけない気がした。
 僕の言葉が期待外れだったのか、さくらが不服そうな顔をする。

「ちょっと、お世辞でも綺麗だって言うもんでしょ」
「親っていうのは子供にお世辞なんか言わないんだよ」
「あれ、一郎、照れてる?」
「ばっ、バカ、照れてなんかいるか」
「わかりやすい」
 さくらが笑い出した。

「このまま一郎と結婚出来たらいいのにな」  
 
 さくらの言葉に心臓が熱くなった。
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