さくらの結婚
「今日の一郎、何か変だよ」

「出来る事ならずっとさくらと一緒にいたい」

「いればいいじゃない。結婚したって私は遠くに行かないよ。彼ね、一郎と一緒に暮らしてもいいって言ってくれたんだよ」

「ありがとう。だけどダメみたいなんだ」

「なんで」  

 つないだ手をあげ、さくらに見せた。  
 さくらが僕に抱きついた。

「一郎、行っちゃヤダ」  

 さくらの声が涙で染まる。  
 僕の手は消えかかっていた。
< 24 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop