きっと、恋をしている
「なんか、あの先輩、ひょっとして温のこと…」

涼子の声でハッと我にかえる。

「え、いやいや!あり得ないでしょ?!」

私は大袈裟に否定した。
今まで誰かに好きになってもらった経験なんてない。
私はあの人を想ってるだけで十分。
今までずっとそうやって来たのだから。

「んーそうなのかなー?でも急すぎない?馴れ馴れしいって言えば悪く聞こえるけどさ。誰にでも可愛いとか言えちゃうタイプなのかね」

涼子は顎に手を当てて考えるポーズをする。

「いや、もしそうだったとしても、私にはあの人がいるから…!私が好きなのはあの人だけ!」

涼子は私の少し大きな声に驚いた表情をしていた。
すると後ろから甘い可愛らしい声がした。

「温ちゃん」

振り返るとその甘い声の持ち主は、同じクラスの奈央ちゃんだった。
奈央ちゃんは私が振り返ると、話を続けた。

「温ちゃん、真柴くんと仲良いの…?」

奈央ちゃんは可愛らしい丸い目で私を見て言った。

「え、いや、仲良いとかそんなんじゃないよ!一方的に絡まれてるようなもんだから…」

私はうつむいてそう言った。
そしてなぜ奈央ちゃんがそんなことを聞いてくるのかと疑問に思った。
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