きっと、恋をしている
それからしばらく経ったある日。
私は昼休みに涼子と学食へ飲み物を買いに来ていた。
自販機の前でどれにしようか迷っていると、背後から私より大きな影に包まれる。

「ハルちゃんどれがいいですかー」

その声に振り返ると、先輩が私の後ろに立っていたずらっぽくこちらを見て笑っていた。

「せ、せんぱ…!」

「ジュース買うんでしょ?俺もなんか買いたいしついでだから一緒に買ってあげるよ。何がいい?」

先輩の影に私は包まれたまま、動かないでいた。
なぜだか鼓動は早くなる。
胸がぎゅっとする。

「早く選ばないとー、俺が勝手に決めちゃうよー?んー、そうだなー、ハルはサイダーかな」

先輩はわざとっぽいセリフを言って自販機のボタンを押した。
取り出し口に出たサイダーのペットボトルを取って私に渡して、先輩はニコッと笑った。

「はい、どーぞ」

私はサイダーを受け取り、先輩の顔を見た。

「あ、ありがとう…ございます」

受け取ったサイダーは冷たくて、まだ少し暑さの残る今の季節にはぴったりだった。

「サイダー嫌いじゃない?飲める?」

「あ、はい、飲めます」

「そっか、ハルはサイダーってイメージだったんだ」

私は表情にハテナを浮かべながら何も言葉を返さなかった。
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