きっと、恋をしている
少しの沈黙が流れた後、先輩が口を開く。

「ねえハル。連絡先、教えてよ。暇なとき、連絡するから」

そう言って、先輩は私の持っているサイダーのキャップ部分を少し触った。
私はまた鼓動が早くなり、見てなくてもわかるくらい、顔も真っ赤だったと思う。
私は先輩に言われるがまま、連絡先を交換した。
“連絡先、教えてよ”そう言ったときの先輩の表情は、いつもみたいにふざけた態度じゃなくて、真剣そうな顔をしていた。
そんな表情が余計に私の心臓をドキドキさせた。

「ん、ありがと。じゃあそのサイダー、大事に飲んでよ」

そう言った先輩は、いつものまたいたずらっぽい笑顔に戻っていた。
私は携帯とサイダーをぎゅっと握って、先輩の後ろ姿を眺めながら立ち尽くしていた。
“あの子”が一連の光景を見ていたことも気付かず…。
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