きっと、恋をしている
次の授業を受けながら、私は片思いの先輩のことを考えていた。
中3のときに思い切って告白をしようと思った。
メールで先輩から『もしかして温ちゃんって、俺のこと好きだったりする?』と送られてきたことがあった。
たぶん私の態度がもろに出ていたんだと思う。
私はそのときそのメールに“好き”と返信することができなかった。
数週間後に、やっぱり自分の思いを伝えたくて、思い切って先輩にメールをした。

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先輩、この間言ってたメールのこと、
本当のことやっぱり言ってもいいですか

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そう思い切って送ったメールの返信は、

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俺いま好きな人いるから、
聞かないでおくね

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だった。
きっと先輩なりの優しさだったのだ。
しばらくして、先輩には彼女ができた。
きっとそのとき言っていた“好きな人”だったのだと思う。
その子がすごく羨ましくて、悔しくて、切なかった。
失恋のショックでかなり落ち込んだが、時も経ち、今もまだ好きだけど、想いを伝えることはもう無いと思う。

そんな事を考えながら、授業中ぼーっと窓から秋の空を見つめていた。
秋の空はなんだか心を寂しくさせる気がする。
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