きっと、恋をしている
…あ、やば、昨日目が合った先輩だ…。

そう、そこに居たのは、昨日ホームで煙草を吸っていた先輩たちの中の、目が合ってしまった人だった。
私はそこでようやくその先輩にぶつかってしまった事を理解した。

「あ、す、すみません…っ」

私は目を合わさずに先輩に慌てて謝った。
そして足早に退散…のつもりが、

「ごめん、ちょっとこの子借りていい?」



「…え?」


そう言って、その先輩が私の腕を引いて涼子に言ったのだ。

え、どういう事?

私は状況が読み込めずにいる。
涼子もおそらく私と同じ状態だ。
だが先輩はお構いなく私の腕をそのまま引いて、体育館の外へと連れ出された。

終わった…。きっと昨日のことだ。煙草のこと、学校にバラしたらしばかぞとか?言われるのかな…?!

私は半泣きで半ば強引に引かれた手を振り解けなかった。
そして体育館の入り口まで連れてこられた。

「靴、履き替えて?先生に見つかるとうるさいから」

平然とした態度で先輩は私にそう言った。
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