きっと、恋をしている
「…それならいいんだけど。てかさっきから、俺のことびびってる…?」

先輩は私の顔を覗き込みながら私の腕をぐいっと引いた。
私はびっくりして先輩の方を見た。
怖くて顔を見てなかったせいか、近くで先輩を見て初めて思った。
怖いと思っていたのに、目が栗色で綺麗なのだ。

「…え、あ、そんなこと…な、いや、…ありますけど…っ」

一瞬見惚れてしまったその薄い栗色の瞳に吸い込まれそうになった。

「…ハハっ、怖いのかよ」

そう言って無邪気に笑った先輩に、私はびっくりした。

「俺怖くないよ?」

またそう言って、先輩は顔を隠してる私の腕を少し強引にどかして、笑っていた。
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