妹と人生を入れ替えました~皇太子さまは溺愛する相手をお間違えのようです~
「おはよう」
出勤したら、憂炎はいつも通りに笑っていた。わたしを抱き締め、一通り撫でまわし、いつもの様に小さく息を吐く。
おかしいのはわたしだけだ。
憂炎の顔がまともに見れない。いつもの様に言葉が出ない。
「どうした?」
「え?」
「目が赤い。顔色もあまり良くない」
両手で頬を包み込み、憂炎は心配そうに顔を寄せた。
「そんなこと、ございませんわ」
苦し紛れの言い訳を口にし、必死になって目を逸らす。
辛い。心臓が口から飛び出しそうだ。
「おまえは……そうやってすぐに嘘を吐く」
憂炎はため息を吐きつつ、わたしの瞳を見つめた。心臓が高鳴る。バクバクと鳴り響き、目尻に涙が浮かぶ。
「見ないで下さい」
憂炎は小さく目を見開き、それから唇を尖らせた。わたしの返答が大層不満らしい。殊更ムキになって瞳を覗き込んできた。
「なんでだ?」
「だって……不細工ですもの。憂炎に見られたくないと思うのは当然ですわ」
頼むから、わたしのことは放っておいて欲しい。そんな瞳で見るな。わたしに触れるな。
まるで『凛風』にするみたいに――――。
「おまえは可愛い」
憂炎がわたしを抱き締める。熱っぽく。苦しい位に。
それが、夕べの夢と重なって、苦しくて堪らなくなった。
「そ……そういうことは姉さまに言ってくださいまし。恥ずかしいし、何だか申し訳ないですもの」
想いを口に出来るようになったんだろう?
ようやく受け入れてもらえたんだろう?
だったら、わたしになんて構うな。構ってくれるな。頼むから。
「だからそう言っている。可愛いって。好きだって。未だに届かないが、それでも」
胸が軋む。涙がポロポロ零れ落ちる。
耳元で囁かれた言葉――――凛風が好きだ――――が、余りにも残酷に響く。
わたしはきっと憂炎のことが――――――。
心の中で湧き上がる感情に蓋をして、静かに首を横に振った。
出勤したら、憂炎はいつも通りに笑っていた。わたしを抱き締め、一通り撫でまわし、いつもの様に小さく息を吐く。
おかしいのはわたしだけだ。
憂炎の顔がまともに見れない。いつもの様に言葉が出ない。
「どうした?」
「え?」
「目が赤い。顔色もあまり良くない」
両手で頬を包み込み、憂炎は心配そうに顔を寄せた。
「そんなこと、ございませんわ」
苦し紛れの言い訳を口にし、必死になって目を逸らす。
辛い。心臓が口から飛び出しそうだ。
「おまえは……そうやってすぐに嘘を吐く」
憂炎はため息を吐きつつ、わたしの瞳を見つめた。心臓が高鳴る。バクバクと鳴り響き、目尻に涙が浮かぶ。
「見ないで下さい」
憂炎は小さく目を見開き、それから唇を尖らせた。わたしの返答が大層不満らしい。殊更ムキになって瞳を覗き込んできた。
「なんでだ?」
「だって……不細工ですもの。憂炎に見られたくないと思うのは当然ですわ」
頼むから、わたしのことは放っておいて欲しい。そんな瞳で見るな。わたしに触れるな。
まるで『凛風』にするみたいに――――。
「おまえは可愛い」
憂炎がわたしを抱き締める。熱っぽく。苦しい位に。
それが、夕べの夢と重なって、苦しくて堪らなくなった。
「そ……そういうことは姉さまに言ってくださいまし。恥ずかしいし、何だか申し訳ないですもの」
想いを口に出来るようになったんだろう?
ようやく受け入れてもらえたんだろう?
だったら、わたしになんて構うな。構ってくれるな。頼むから。
「だからそう言っている。可愛いって。好きだって。未だに届かないが、それでも」
胸が軋む。涙がポロポロ零れ落ちる。
耳元で囁かれた言葉――――凛風が好きだ――――が、余りにも残酷に響く。
わたしはきっと憂炎のことが――――――。
心の中で湧き上がる感情に蓋をして、静かに首を横に振った。