夏ラムネ
「ゴメンナサイ、ガラスが割れました」
「…ビー玉が飛びました」
「うん、わからん」
その後すぐ、和音先生の絶叫が割れたガラス窓に反射して聞こえてくるけれど、蘭野のことだけで頭がいっぱいで。
早く好きって言いたいな…
そういう好きだよね?ラブじゃなくってライクだよなんて言わないよね…?!
蘭野抜けてるから、言葉も抜けてたりして。
そういえば蘭野に告白した人が「思わせぶり男」だって泣いてたかも。
でも結構前からって言ってたし…あれ、前って、いつ?
「せんせーボンド取ってくるわ」
「…くっつかなくね?」
「給料から引かれるのは勘弁。咲のことよろしく」
ピシャン、と必要以上に強く扉が閉じられて、「うわ」って声が僅かな隙間から聞こえてくる。
二人きりだと自覚するのはそれから二秒後。