スキナダケ
それから二日後。
夏休み最終日にもう一度お父さんと山に登った。

重々しい音を立てながら開かれた焼却炉の中には沢山の灰と、焼き切れなくて形のままだったり、溶けて形を成していないアクセサリーの残骸、所々に散らばる白くて小さい骨、割りと大きめの骨。

足元に転がってる廃材で中を掻き回してみたら、多分、皮のブーツだった燃え殻とか、燃やした物が多くて、あんなに灼熱の炎の中でも下のほうは火が回りにくかったりするのか、なんとなく元がなんだったのか分かる物もあった。

だけど無事、ママの面影はどこにも残されてなかった。
綺麗に焼けて、骨が残ってるだけ。
ママの骨だって言われても証明のしようが無い。

「この後どうすんの」

「どうにかするんだよ」

「どうにかって?」

「お前が考えることじゃない」

「聞いたことあるよ。焼却場で発生した燃え殻は最終処理場で埋め立てるって。土木資材とかセメントなんかにリサイクルされるんだよね。でも貴金属とかが混ざってたらそれが出来なくて別で処理しなきゃいけない。オマケに骨も混ざってるし…。絶対これこそなんかに引っ掛かっちゃうよね」

「だから、な?華楽、お前が考えることじゃねぇんだ。俺の繋がりをお前は知らねぇだろ。ナメんなよ」

ナメんなよ、って凄まれたって、本来そんな交友関係は全然誇れることじゃ無い。

それでもハナにとっては有難いことには変わり無い。

ハナは何も考えなくていい。
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