スキナダケ
夏休みが明けて、一ヶ月と数週間。
十一月になろうとしてた。

繁華街のほうを歩いてたら夕海に似た人を数メートル先に見つけた。

頑なに連絡先を交換してくれなかった夕海。
夏休み以来、声も聴いていないし、姿を見るのも、もちろんあの日以来だった。

夕海は二学期の間、いい子にしててってハナに言った。
そしたらまた会いに来てくれるって。

だからハナはいい子にしてた。
夕海だけを想って。ずっと。

ハナの変声期もすっかり落ち着いて、一般的な低音ボイスみたいには低くないけれど、夏休み前よりは低い声に、身長は百七十五センチくらいになった。

手も足も大きくなったように感じる。
髪はずっとショートカットを維持してるし、服も男子の綺麗めというか、シャツやジャケットを好んで着ていた。

シンプルなTシャツにスキニーパンツって服装も結構評判良くて、女性の服はめっきり着なくなった。

ネットで出会った子に求められたらする程度。
容姿だけはやっぱりどうしてもあまり変わらなくて、クラスメイトからは夏休み中にますます綺麗になったねなんて冷やかされた。
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