スキナダケ
「…ごめん…ね…」

夕海が手を伸ばした。
彼氏は夕海の、血で真っ赤に染まったTシャツを巻いた左手を凝視している。

その痛々しさに、言葉も出ず、夕海の行動にも抵抗出来ずにいた。

多少の責任は感じてくれてるみたいだ。
夕海がこうなったのも、彼氏が夕海に近付いたせいなんだし。

ベルトを外して、スリムパンツのボタンに手をかける。
ゆっくりとファスナーを下ろす夕海の手。

「夕海、もうやめて。自分でやる」

「え?」

「自分でやるよ、夕海。ごめん…。かぐ…ハナくん…、いいよね?」

惨めな姿なら、突き抜けて惨めな姿が見たかったけれど、それくらいは許可してあげよう。

「いいよ、別に」

「…ありがとう」
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