スキナダケ
彼氏の手錠を外してあげた。

逃げるかもしれないけれど、もうそんな気力も残っていないだろうってことも、なんとなく分かってた。

動きはゆっくりだけど、彼氏はスリムパンツを脱いで、指示通り、履いていたボクサーパンツも脱いだ。

「お願い…やめさせてあげて…なんの意味があるの!?」

「意味なんて無いよ」

懇願する夕海に笑いが込み上げる。
意味なんてあるわけない。
こんな小学生のイジメみたいなことに、ハナが意味があると思ってやってるだなんて侵害だ。

「男を脱がせて愉しむような人間だって思ってたの?傷つくなぁ」

「じゃあ!!!なんでこんなことするのよ!!!」

「ムカつくからだよ」

「僕が…ハナくんに何をした…?」

「まだ分かんないの?」

情けない格好のまま項垂れる彼氏に詰め寄った。
彼氏は顔を背けたけれど、後ろはただの壁。
もう逃げ場なんて無い。

「ハナの夕海に手を出したからだよ」

「ハナくんの夕海じゃ無い…夕海は誰の物でも無い…」

「ハナのだよ!!!」

ビクッと彼氏の肩が上下した。
ハナの顔を見て、眉間に皺を寄せた。
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