スキナダケ
「夕海、好きだよ」

「…」

「ふふ…。うん、もういいよ。分かってる」

分かってる。夕海がハナを好きじゃないことくらい。
ステータスにもならなくなったハナのことなんてとっくに切り捨てていたことくらい。

「だいじょうぶ。すぐに逝けるからね」

ペットボトルの毒薬入りミネラルウォーターを口に含んで、夕海の頭を掴んでキスをした。

ジタバタと暴れたけれど、頭を抱え込むようにしてるから逃げられない。

口を離したら、夕海のくちびるの端から水が滴っている。

相当な量を混ぜたから効かないことは無いと思うけど、念の為、もう一口分キスをする。

「だいじょうぶ。ちょっとしか苦しくないから。だいじょうぶ…」

ハナが夕海に毒を飲ませてハナも飲む。
二人の意識が飛んで、完全に死が確認出来たら火をつけて蓋を閉める。

ハナと夕海は一緒に燃えて、空に昇華されていく。

お父さんと何度も練ったシナリオ。
燃えた後の骨や灰はお父さんの自由にしたらいい。

ハナは夕海と死ねるだけで救われる。
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