スキナダケ
ハナちゃんが彼氏と私を殺害する計画を、パパに聞いた。

彼氏と映画を観に来た日、その姿を見られてしまったから、私達はきっと殺されるってどこかで思ってた。

ハナちゃんを裏切ったって意識も少しはあった。
ハナちゃんが私に依存していることも、きっとこの世で一番私のことが好きなんだろうなってことも。

初めて雑誌でハナちゃんを見た時。
一目惚れだった。

誌面上ではどう見ても女性に見えるのに、男性と記載されていたこと、
どんな服を着てもどんな表情でも、ハナちゃんは群を抜いて美しかった。

どんな声で喋るんだろう。
どんな風に触れるんだろう。

パパに初めてハナちゃんの写真を見せられた時は心臓が止まるかと思った。
この日ほど、パパが私とママを捨てて出ていったことに感謝したことは無い。

それがあったから、私はリアルでハナちゃんに出会えるんだ。

夏休みにハナちゃんの家で過ごすことが決まった日は興奮して眠れなくて、だからハナちゃんと初めて顔を合わせたあの日は寝不足だった。
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