スキナダケ
実物のハナちゃんは雑誌で見るよりも、もっともっと美しくて、なんていうか、オーラが違った。

あぁ…こんな人がこの世には本当に存在するんだ。
雑誌で見ていたよりも少し男性っぽさが増してはいたけれど、その身体に共存する男性らしさと女性っぽさが堪らなく色っぽく見えた。

だから私は、どうしてもハナちゃんが欲しかった。
自分だけの物にしたかった。

こんなに美しい作品を、他の誰の物にもしたくない。
誰にも触れて欲しくない。

私はハナちゃんの心の闇を知っていた。
パパはハナちゃんのことを何でも教えてくれたから。

パパがハナちゃんに心酔していることも、私を利用してハナちゃんをいつまでも自分の傍に縛り付けようとしていることも。

もちろん、カミングアウトされるよりずっと前から、ハナちゃんが殺人を繰り返していることだって知っていた。
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