スキナダケ
冗談なんかじゃないってことはハッキリと分かった。

ハナちゃんは「殺人をすること」に関しては一切感情が無い。

相手が望んだから、それで救われるから。
ただそれだけの理由で何十人も殺した。

一番救われたかったのはハナちゃんなんだと思う。

生きる苦しさから救ってあげる。
あなたを救えるのは僕だけだよ、って。
そう思うことで、死を理由に相手が自分に依存しているって思えたのかもしれない。

彼氏は確実に、もしかしたら私も本当に殺されるのだろうと思った。

だから私はパパに言った。

これがハナちゃんを自分達だけの物にする最後のチャンスだよって。

独占したかった私達は、「二人の物」にすることでちょっとだけその希望とは反してしまうけど、それでもあのハナちゃんが私達だけの物になる。

パパは迷わずに、私に加担した。

この世でたった一人、パパと血の繋がった子どもは私だけであること。

最後にパパの感情が揺れた理由にそれが含まれていたことも、本当はちょっと嬉しかった。
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