スキナダケ
「今はお父さんが居るけどさ、いつか一人になった時の為に、僕…、ハナも強くならなくちゃ」

お父さんはリビングのソファに座ってビールを呑んでいた。
ハナはご飯を食べるダイニングテーブルのチェアに座ってメイクを落としていた。

お父さんがダイニングテーブルのほうにやってきた。
腰を屈めてハナに顔を近付けた。
アルコールのにおい。

四十代後半。
警察のおじさんと同じくらい。

ハナのママはもっと若い。
十五歳でハナを産んでるから今はまだ三十一歳だった。

ママは綺麗な人だ。
ママって呼ばないと怒るような人。
母親でいることよりも、まだまだ「女」で居たい人。
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