スキナダケ
「パパは?」

「パパ?…あぁ、居ないよ。多分仕事」

「そう。ほんと勝手よね。ママもパパも」

「いいんじゃない。住む場所とお金さえ与えてくれれば」

「まぁ、確かに」

ゆうみはまた一口麦茶を飲んだ。
グラスに水滴が沢山くっついて、筋を作っている。
一粒、ゆうみの太ももに流れて落ちたのを見た。
ゆうみのデニムパンツがポツッと濡れて、そこだけ色が濃くなった。

「お父さんにはたまに会ってたの?」

「うん、本当にたまにね。お小遣い貰ったり。私は選ばれなかったけど、ちゃんと気に掛けてもらえてるから恨んだりとかは無いかな」

「そっか」

「嫉妬した?」

「嫉妬?何に?」

「私に。あなたのパパなのに」

「でも元は君のお父さんだから」

「まぁ…、そうね」

ゆうみが頷いて、目が合って、二人で少し笑った。
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