スキナダケ
スカートを履いて、カッターシャツの上から男子のブレザーを羽織ったハナを、夕海はクスクス笑った。

「全然合わないね」

「そりゃそうだよ。なんていうか…型が違うっていうか…。大体違う学校の物だし、性別だって違うし」

ネクタイを最後にキュッと締めた時、夕海はかっこいいって言った。
かっこいいって言われるのは珍しくて反応に困った。

やっぱりブレザーが少し窮屈になってる。
ハナはこれからどんどん「男」になっていくんだって思った。

ずっと立ったままハナを見ていた目の前の夕海はやっぱり小さい。
手も足も、ハナより小さい。

ハナは周りの男子に比べれば華奢だし顔も女性っぽいけれど、夕海よりは絶対に、男だった。

真夏だからブレザーは暑かった。
部屋の冷房を付けようとしたらその手を夕海に掴まれた。

夕海がジッと見てる。
なんでか分かんないけど、ハナから夕海にキスをした。
夕海のぬるい舌の感触がした。

そのままよろめいた夕海がバランスを崩してベッドに倒れた。
お構いなしにハナは夕海に覆い被さるようにしてキスを続けた。

夕海の手がハナのネクタイを外す。
イチにされた時とは違った。
心臓が苦しいって思った。

キスをしてるからかもしれない。
酸素が薄い気がして、二酸化炭素なのに、交換するみたいに求め合った。

そのまま、夕海とシた。
ハナは初めてじゃなかったけど、夕海は初めてだった。
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