スキナダケ
結局、リネン素材のロングスカートを履いた。

それからウィッグを被って、夕海が大人っぽく結ってくれた。

メイクも薄くしたら、鏡に映るハナはちょっと大人っぽいお姉さんになった。

「身長高いしかっこいいよ」

夕海が隣に立って、鏡の中のハナを嬉しそうに見つめた。

これは偽物のハナだ。
本当のハナじゃない。

どっちも自分なのに、今のハナに、ハナは嫉妬した。

「夕海、どっちが好き?」

「え?どっちも好きだよ。私だけの着せ替え人形」

夕海はクスクス笑う。

着せ替え人形。
そこに、魂は含まれてるんだろうか。

「夕海」

「ハナちゃん」

「え?」

「なんか…ちょっと、声変わり始まってる?」
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