スキナダケ
「ハナちゃん?どうしたの、遅れるよ」

「…うん。行ってくるね」

「喉、痛いならのど飴買いなね」

「平気」

玄関の姿見でもう一度自分を見た。
女性だった。

顔だけなら。
華奢な身体つきでなんとか誤魔化してるって感じ。

別に女性になりたいわけじゃないのに。

どんなに蔑まされても輪に入れてもらえなくても平気だった中学生の頃。
それはハナの見た目がこんなんだからじゃない。

お前らとは違うって。
そうやって僻んでろよって、恵まれた自分の容姿に悦に浸っていた、ハナ自身の問題だったんだ。
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