スキナダケ
君だけが居ればいい世界
「もー！遅いよ」

待ち合わせ場所の喫茶店。
純喫茶って感じ。

チェーン店じゃなくて、個人経営。
店内はそこかしことアンティーク調で温かみがある。

シュガーポットの中の砂糖は角砂糖。
一つ一つの席に小さいランプが置いてある。
中にはキャンドルが立っていて、火は灯ってないけれど、マッチ棒が入れられた真鍮みたいな受け皿に「ご自由にどうぞ」って書いてある。

マッチ棒を貰うことか、火を灯すことのほうに対してか、ハナには分からなかった。

先に席に着いていた大学生のお姉さんはわざとらしく頬を膨らませて怒っている。

もう何番目か分かんないからシンプルにお姉さんって呼ぶことにした。

「すみません。なかなか服が決まんなくて」

「そういうのは前日に決めておくものよ」

「次はそうします」

「次があるの？」

悪戯っぽく笑うお姉さんは、笑うとえくぼが出来てチャーミングだった。

「無い…と思いますけど」

「そうよね。ね、何頼む？」

お姉さんがハナの前にメニューを開いて置いた。

このお店はオーナーだけで回してるのかな。
だとしたら、ちゃんと回せてるのだろうか。
メニューが多すぎる。

純喫茶ってそういうものなのかな。
客席が埋まってるわけでも無いし大丈夫なのかもしれない。
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