スキナダケ
お姉さんはアイスコーヒーとチョコレートオペラ、ハナはアイスレモンティーと苺のミルフィーユにした。

角砂糖を使ってみたかったから、ホットにすれば良かったって後からちょっと後悔した。

注文したケーキ達は全部同時にやってきた。
オーナーが片方の手の平に乗せたトレンチの上に、アイスコーヒー、アイスティー、ケーキ二つが全て乗っている。

どこでバランスを取ってるんだろう。
ハナだったら全部ひっくり返してしまうかもしれない。

チョコレートオペラはツヤツヤだった。
お姉さんがフォークの先でちょんってつついたら、点が三つ出来た。

ゆっくりフォークを差し込んで、端っこからケーキを切り取っていく。
フォークを差し込むのと同じ速度で口に運んだお姉さんは「おいしー」って幸せそうに目を細めた。

ミルフィーユを食べるのは難しかった。
お姉さんみたいにフォークをゆっくり差し込んだらパイ生地だけが沈み込んで、反対側からカスタードクリームが飛び出してしまう。

倒して食べるのも行儀悪いし、パイ生地だけを剥がしながら食べるわけにもいかない。
ハナはミルフィーユを綺麗に食べる自信は無い。
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