スキナダケ
公園でブランコをゆっくり漕ぎながら、どうして死にたくなっちゃったのか、
「自分も君みたいだったらもっとハッピーに生きていけるだろうに」なんて言っていた。

ハナみたい、だなんて、
ハナの何を知ってるっていうんだろう。
ハナにだってハナのこと、分かんないのに。

「君みたいだったらよかったのに」
そう呟いた口調も表情も、このセリフの為に何度も練習した渾身の演技に見えて、ハナはまた感心した。

「あのさ」

「うん?」

「じゃあさ、今日突然命を奪われてもいいやって思う?」

「今日?」

「うん。いきなり殺されたりしても、恨んだりしない?」

「してくれるってこと?君みたいに特別な人間にされるなら、願ったり叶ったりだよ」

「ふぅん」

漕いでいたブランコをかかとで止めてハナは立ち上がった。
引きずったかかとの跡が砂の上に出来ていた。

「駅、いこ。もう暗くなるよ」
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