スキナダケ
「ねぇ、ちゃんと聞いてなかったけどなんで死にたいの」

「え…あぁ、まぁ…ちょっと。色々とね」

「色々?それじゃあ殺せないよ」

声をひそめて喋った。
こんなこと誰かに聞かれたらヤバい。
周りの客席は相変わらず無人だけど。

こんなに静かだと、キッチンのオーナーにまで聞こえちゃうんじゃないかって不安になった。

「なんで?」

「なんでって。理由がちゃんと分かんないのにさすがに出来ないよ」

「色々よ、色々!そういうこともあるじゃない。なんとなく、あーもうヤダな、死にたいなって。ね?」

ハナはそんなこと無い。
自分が何者なのか分からなくはなるし、中学の頃は虚無感も感じては居た。

今は依存する物があるからかもしれないけれど、死にたいとまでは思わない。
< 80 / 235 >

この作品をシェア

pagetop