スキナダケ
「分かった分かった。その時になったら話すから。それでいいでしょ」

「…うん。絶対だよ」

まぁ、確かに。
こんなオープンな場所では話しにくいかもしれない。

お姉さんは学生向けのマンションで一人暮らしをしてる。
今日はそこで殺す予定だった。

事故物件にしてしまうし、他の学生にとっては大迷惑だけど、約束さえ果たせばハナには知ったこっちゃない。

対象者の未来すらどうでもいいのに、そこに関わるかもしれない赤の他人なんてもっとどうでも良かった。

ゆっくりドリンクを飲みながら少し話をして、ハナ達は喫茶店を出た。

喫茶店に入る前よりも空が淀んでいた。
雨が降るかもしれない。
来る時はすごく晴れていたから傘なんて持ってきてない。

空気の湿り気を感じる。
不快だった。

「早く行こう」

「うん」

ハナに促されてお姉さんも歩き出した。
そう言えばお姉さんは他の人達みたいにハナのことをあんまり褒めない。

好みは人それぞれだ。
そういうことだってある。
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