再び、光が差す-again-〈下〉
そして、


「幸人!」


彼女は、幸人の名前を呼んだ。

それに幸人も当然のように手を挙げて応える。

幸人はお洒落なレストランの前にたまたま立っていたのではなく、誰かと待ち合わせをしていたのだ。

その相手は私も知らない、綺麗で育ちが良さそうな女の人だった。

彼女は自然に幸人の腕に自分の腕を絡め、お洒落なアンティークのドアを開けて店内に入って行った。


「もしかして、幸人の彼女?」


私は、全く振り向こうとはしない菜穂の背中に向かって聞く。


「多分、今日で付き合って二年」

「そんなに!?」


幸人に彼女がいるなんて話今まで誰からも聞いたことは無かった。もちろん菜穂からも。

だから、二年も付き合っている事実を知って声を上げるほど驚いてしまった。
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