再び、光が差す-again-〈下〉
綺月の家に着くと、躊躇うことなく家のインターホンを鳴らした。

するとすぐに母親がインターホン越しから出ずに、家のドアを思いっきり開ける。


「綺月!」


母親は綺月の帰りが遅いことを心配してずっと待っていたことが顔を見れば分かった。

綺月の母親は俺の顔を見ると、いつもみたいに強い女性の顔に切り替えた。


「…こんな夜遅くになんの用?」

「綺月、帰って来てないですか?」


聞いても答えは十中八九分かっているがもしかしたらの期待を込めてそう聞くと、母親は怪訝な顔をする。


「まさか、あの子が帰って来ないのはあなたのせい?」


やっぱり帰って来てないのか。

急に自分だけ重力が倍になったのかと疑うほど身体が重くなる。
< 105 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop