再び、光が差す-again-〈下〉
「何時帰ってくんの?」

「19時だけど」

「はぁ、はえーな、送って行くわ」


時計を確認すると、カオルはバイクの鍵がポケットに入っているか確認しながらソファーから立ち上がる。

カオルは面倒くさそうにしながらも、いつも送ってくれる。

母が早く帰る日は引き止めたりしないし、たまに関係が良好であるか確認してくる。

自分のことをあまり話そうとしない私のために、普段のカオルなら絶対踏み込まない誰かの家庭環境に踏み込んでいる。

それが結構嬉しかったりする。


「菜穂、私帰るね」

「え〜もう?
カオルは私の事送って行ってくれないわけ?」

「お前は幸人呼べ」

「ざんねーん、今日はユキは彼女とデートでーす」


菜穂はカオルが退いたソファーに飛び込んで寝転がる。

強がって何も気にしてないフリをする菜穂だが、さっきまでめちゃくちゃ気にしていたことを私は知っている。
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