再び、光が差す-again-〈下〉
「私なら自分に振り向いてくれない人なんか、あっさり捨てて次に行くわ。
違う道を進んだら案外それ以上に幸せが待っている可能性もあるから」


ただの可能性だ。

でも人生はギャンブルみたいなものなんだから、可能性に賭けて先に進まないと時間は止まったままだ。


「怖いのよね、あなたは。
別の道に進んで幸せになれるのか不安なんでしょ?十分繊細よ」

「……そんなこと、初めて言われた」


桜は小さく呟いた。


「幸人は優しい。
優しいけど、その優しさは時に人を傷つける。
好きになったら一番厄介だね」


私は眠る菜穂の髪の毛を撫でる。

優しさという武器を振り回し、殺すか殺さないかハッキリしない中、中途半端に傷つけて結局二人はずっと痛いのだ。

本当に幸人は罪な男だと思う。
< 136 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop