再び、光が差す-again-〈下〉
杏樹は昔から沸点が低くすぐに手が出てしまい、一度手を出すと気絶するまで殴ってしまう暴力的なところがあった。

そんな杏樹とは正反対の聡さんは面倒見が良く、困っている人間を放っておけない性格で、そんな聡さんに救われたと感謝しているメンバーが多かった。

常々二人はいがみ合って喧嘩が絶えなかったが、それはお互いが心を許し合っているからこそだった。

そんな時、どちらが総長になるか決めるための喧嘩が起きた。

圧倒的な強さを誇る杏樹は、なんとか聡さんに勝つがその後杏樹は何も言わずAgainから姿を消した。


「ちょっと待って。杏樹が勝ったんでしょ?
なんで杏樹が出て行く必要があるの?」

「杏樹が狂ってたから」


桜はそう言うと、また話の続きに入る。

杏樹と聡さんの喧嘩は、血が流れるほどの荒々しい喧嘩だった。

お互いフラフラになりながら、杏樹はこの喧嘩に終止符を打つため刃物に手を出した。

その刃物によって、聡さんの額には一生消えない傷が残り、また杏樹の腕にも一生消えない傷が残った。

それを見た杏樹を慕っていたメンバーも、刃物を使うのは卑怯だと口々に杏樹を遠ざけた。
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