再び、光が差す-again-〈下〉
だけど聡さんはすぐにその男から杏樹に視線を戻した。


「俺の事殺すつもりないならなんで呼びつけたんだよ」


聡さんはこの男について一言も発さず、むしろ眼中に無いみたいだった。

その反応に私は拍子抜けし、杏樹は驚いた顔をする。


「なんだよその顔…
まさか俺の前でこいつのこと殺すつもりだったか?そんなこと誰も頼んでねぇよ」


杏樹はずっとこの男だけを殺すために生きてきた。

でも聡さんは、この男を殺すことよりももっと大事なことがあるように言葉を続ける。


「お前は怒るだろうと思ったけど、もう一度Againを復活させたのは、お前を連れ戻すためだ」


……え?


「Againのみんなの前から突然姿を消した杏樹のことを連れ戻すためには、Againの名を復活させることが一番早いと思ってたから。杏樹ならきっとまた俺に近付いて来ると確信してた」
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