再び、光が差す-again-〈下〉
「綺月!」


目よりも先に耳に入り、私は足を止める。

何度も助けを求めた人の声が聞こえて、顔を見る前に泣きそうになる。

ゆっくりと振り返ると、カオルが遠目から見えた。

お互い顔をしっかり確認すると、カオルは歩き出し立ち止まることなくそのままの勢いで私を抱き締める。

カオルは容赦なく強く私を抱き締めると、長くて少し震えた息を吐いた。


「やっと会えた」


あまりにも聞きたかった声に、私は張っていた糸が切れ涙が溢れる。


「カオル、ごめんっ…意固地になってごめん…」


連絡をずっと無視していたことを謝ると、カオルは私の頭を撫でる。


「大丈夫だ、大丈夫だから。
どんなに無視されても俺は綺月を離したりしねぇから」


優しくて強い言葉に、私は泣きながら何度も頷いた。

カオルの久しぶりの匂いに、私は暫くの間浸っていた。
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