再び、光が差す-again-〈下〉
【杏樹side】




「さて、どうするかなコイツ」


聡は横たわって気絶している男を見下ろす。

そして、少し悩んだ末に男に巻きついたガムテープを剥がすと、手を払いながらドアに向かって歩き始める。


「何やってんだ、行くぞ」

「は?」


まさかこのまま置き去りにして帰るつもりか?

聡は髪をかきあげながら不敵に笑った。


「お前の仲間、下で痛がってんぞ」

「…容赦ないな」


杏樹は久しぶりに見た聡の悪魔のような笑みに舌打ちをした。

仲間思いで困っている人を放っておけない聡は、ごく稀に悪魔のような顔を見せる。

それを知った人間は、みんなこう言う。

"本当にイカれてるのは杏樹よりも聡だ"

聡は足で内側のドアノブを破壊すると、杏樹を置いて部屋を出た。
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