再び、光が差す-again-〈下〉
二度目の再会で、綺月が傘に自分を入れてくれた時、正直言って嬉しかった。

鬱陶しい雨が当たらないのはこんなにも気が楽なのかと思った。

思っているよりもずっと良い女で、俺はあの時気絶させることに少し迷った。

出来れば、自分が杏樹だとバレたくなかった。

怖い思いをさせてしまったことに今は申し訳なさしか感じない。

今度会えた時は、自分の本心が言えるだろうか。

沈む夕日をじっと眺めながら暫く俺はそうしていた。
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