再び、光が差す-again-〈下〉
「もう体調はいいの?」

「うん、点滴打ってもらったら元気になった」

「よかった!
私の腕の中で倒れた時はびっくりしたんだから」


菜穂はその時のことを思い出して、困ったような顔をした。

緊張状態が続いていたから、みんなの顔を見たら力が抜けてしまったのだろう。

私は店員が持ってきたコーヒーを手に取り、口につける。


「でもカオル妙に落ち着いてて、すぐにお姫様抱っこして連れて行ったよ。
あれはちょっと良い男だと思ったね」

「ぶはっ」


お姫様抱っこという単語を聞いて、コーヒーという液体を喉に引っかけ豪快に咳き込む。


「待って、みんなの前でそんなことしたの?」

「うん、軽々持ち上げてスタスタと車に乗せてた」


恥ずかしすぎる…

私は照れを隠すために、何食わぬ顔でまたコーヒーを口にした。
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