再び、光が差す-again-〈下〉
「ねぇ、菜穂」

「んー?」

「菜穂の方はどうなったの?幸人とは」


菜穂は私の言葉に、急に電源を落とされたロボットのようにピタリと動かなくなる。


「ど、どうしたの?菜穂?」


動かなくなってしまった菜穂は、今度は突然机に突っ伏した。

情緒不安定な行動に私は驚きの声が漏れる。


「ユキが全く分からん」

「…え?」


菜穂は頭を抱えながら連れ去られた後の出来事について話す。


「あの女と一緒に身を隠したでしょ?
その後、見つけてくれたのがユキだったんだよね」

「おー」

「自分の彼女が隣にいるのに、なぜか抱き締められて…」

「おー!」

「めちゃくちゃ優しくしてくれたんだよね。
彼女がいる横で気付いてないの?って不安になるくらい。
上着も着せてくれてさ…」

「おー!!」


確かにあの時、菜穂は幸人の上着を着ていた。
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