再び、光が差す-again-〈下〉
「暫く一緒にいてくれて、家まで親切に送ってくれた」


にこやかな顔でうんうんと何度も頷いて聞く。


「私もちょっと自惚れててさ、次の日も会いに来てくれないかなって電話したら、電話越しからあの女の声が聞こえたの」

「…お?」

「これってさ、どういうこと?」


菜穂はちょっと苛立ちを含んで私に答えを求めてくる。

要は、ずっと優しくしてくれたのに次の日はもう彼女と仲良くしてたわけだ。


「私頭に来て、電話ぶち切りしちゃったんだよね」


菜穂は、上に乗ったアイスクリームをスプーンで乱暴にメロンソーダと混ぜていく。

店内にカチャカチャとスプーンとグラスが接触する音が響いて、私は菜穂の腕を掴み「お上品に」と口にする。

そこで私は気付く。

菜穂がお上品に行こうと思うと言ったのは、桜と違ってお上品さが欠けているから飽きれられたのだと勘違いしたからだと気付く。
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