再び、光が差す-again-〈下〉
「その後も電話を折り返してくれるわけでもないし、本当に何で私ユキのこと好きなんだろう」


菜穂の落ち込んだ顔を見て、幸人は私よりも恋愛初心者なのかと先のことが不安になる。


「カオルも分からないし、ユキも分からない」

「お互い苦労するね」

「本当だよ、こんなこと考えてる時間が無駄なのに!」


私達はやけ酒するように頼んだ飲み物を一気に飲み干した。

その後二人は喫茶店を出ると、明日の授業までに提出する課題があることに気付き、そこで解散となった。

家に帰っても、カオルからの連絡は未だに無い。

彼女のことが心配では無いのだろうかと私は徐々に苛立ってくる。

喧嘩した時は、毎日馬鹿みたいに連絡してきたくせに…

携帯ばかり気にして課題が進まないことに腹を立て、携帯の電源を落とした。


「邪悪なものは自ら断つべし」


私は真っ暗な画面になった携帯を見ながら呟いた。
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