再び、光が差す-again-〈下〉
「あ、菜穂?今日どうしたの?」


ガヤガヤとうるさい教室で、電話越しの菜穂の声だけに集中する。


「…ごめん、その、ちょっと学校に行くのが怖くなっちゃって…」


昨日会った時には飄々としていた菜穂だが、本当は外に出ることも怖かったのだと今更気付く。


「大丈夫だよ、明日は?来れる?
迎えに行くから一緒に行こう」

「ごめんね、ありがとう」


菜穂は電話越しからでもどんな表情をしているのか分かるくらい、苦しそうにお礼を言って電話を切った。

私は真っ暗になった画面を見ながら長い息を吐いて机に突っ伏した。

菜穂の異変に気付けなかった自分に腹が立ち、そんな菜穂を放っておく幸人にも腹が立ち、全然会いに来てくれないカオルにも腹が立ってしょうがなかった。
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