再び、光が差す-again-〈下〉
「綺月ちゃんどうしたの?こんなところで」


知っている人が目の前にいることで、やっと身体の震えが止まる。

私は震えが止まった手を凝視する。


「…綺月ちゃん?」


名前を呼ばれ、雪希の顔を見る。

自分はもう大丈夫だと思っていた。

結局杏樹は良い人だったし、誰にも傷つけられなかった。

カオルが見つけてくれて抱き締めてくれたし、お母さんも優しく頭を撫でてくれた。

あの時の出来事を振り返った瞬間、菜穂が襲われそうになる場面が突然フラッシュバックする。

強く握られた手が痛くて、その痛みは今も残っていた。

もう大丈夫なのだと分かっている。

分かっているはずなのに、どうしてこんなにも腕も心も痛いのだろうか。
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