再び、光が差す-again-〈下〉
「綺月ちゃん?」


瞬きをすると、頬が濡れる。

自分が泣いていることに気付いて首を傾げた。

まるで、心と身体が一緒じゃないみたいに、分離してお互いが拒絶する。


「…カオルに」

「え?」

「カオルに、会いたいっ…」


それでも、心も身体もなぜかカオルを欲していた。


「待って、今呼ぶから。
アイツ電話に出るかな」


雪希はすぐに携帯を取り出しカオルに電話をかける。

私の方からカオルに会いたいと口にするのは初めてだった。

私が会いたいと言ってもカオルはすぐに会いに来てくれるのか自信が無くて、いつも絶対に口にはしなかった。
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