再び、光が差す-again-〈下〉
「海斗は好きな人とかいないの?」

「…美月」

「それは憧れみたいなものでしょ?」

「憧れも元を辿れば好意を持ってるってことだろ」


海斗は真顔でそう言うと、いつものようにソファーに寝転がり目を瞑る。

会った時から、海斗はお姉ちゃんを好いている。

自分の姉をこんなに慕う人がいることは純粋に嬉しいが、時々不安に思う。

もし海斗がお姉ちゃんに本気になって、お姉ちゃんと聡さんの仲を引き裂こうとするのではないかと。


「綺月」


そんなことを考えていると、カオルがいつの間にか溜まり場に来ていて、いつの間にか私の横に座っていた。


「び…っくりしたー、いつの間に…」


驚いて声を発する私に、カオルは唇に触れる程度の軽いキスをする。

突然の行動に、私は困惑しながら更に目を見開き驚く。
< 189 / 364 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop